透明感のある髪の毛の塗り方〜初心者を脱却するコツや髪ならではのポイントも解説〜
「デジタルイラストを始めたけど簡単な塗りしかできない」
「もっと繊細で透明感のある髪の毛の塗り方を知りたい」
このような悩みはありませんか?
デジタルイラストを使いこなせばリアルで透明感のある髪の毛を描けますが、なかなか難しいものです。
そこでこの記事では髪の毛の塗り方の手順やおさえておきたいポイントなどを解説します。より洗練された髪の毛に仕上げたい方はぜひ最後までご覧ください。
髪の毛を塗る前におさえておきたいポイント
顔や服とは異なる髪の特性を意識しておくと、髪の毛を塗る際に役に立ちます。アイビスペイントやクリップスタジオ(クリスタ)など使用するソフトはさまざまだと思いますが、ソフトを問わず重要なポイントです。
以下で1つずつポイントを解説します。
光源を決めておく
まずは光源を決めましょう。光源が人物の上だとしても、真上なのか左右のどちらかなのかをはっきり決めておく必要があります。どこから光が当たるかで影やハイライトの入れ方も変わるものです。
先に決めておかないと影の入れ方が不自然になってしまうため、必ず塗る前に決めてくださいね。
頭の形を把握して描く
塗る前の描く段階で、頭の形を把握して描きましょう。
そもそも頭は球体であり、髪の毛はつむじから流れています。塗る際はもちろん、線画を描く段階でも意識しておくことが大切です。
髪型と毛の流れを意識する
髪型や毛の流れも意識しましょう。
髪の毛と一言で言っても、髪型により毛束の動きが変わります。髪型もストレート・パーマ・まとめ髪などさまざまです。
さらに髪が肩にかかるなど長さによっても髪の毛の流れは変わります。不自然さをなくし、立体感を出すためにもぜひ毛の流れを念頭において塗ってみましょう。
透明感のある髪の毛の塗り方〜手順に沿って〜
髪の塗り方といってもさまざまですし、これが正解というものはありません。しかしデジタルイラストの初心者から一歩抜け出すなら、透明感のある塗り方を目指してみると良いでしょう。ここからはブラシ塗りによる透明感のある塗り方を紹介します。
1.ベタ塗りする
まず、髪の毛に当たる部分をベースの色を決めて塗りつぶしをします。塗りつぶしツールなどのベタ塗りでOKです。
ベタ塗りの色はイメージの色より少し明るめにしておくと良いでしょう。この後の工程で影を多く入れていくので、仕上がりが思ったより暗めになる場合があるからです。黒髪のキャラでも真っ黒(R0・G0・B0)ではなく、少しだけ色味のある黒を使うと良いでしょう。
2.薄い影を入れる
次に髪の毛に薄い影を入れます。
乗算モード(※1)で新しいレイヤーを作成したら、ベタ塗りの色より少し濃い色で毛束や毛の流れに合わせて影を描いていきましょう。影を描くブラシは筆ブラシがおすすめです。
※1 乗算モード:異なるレイヤーでも自然な色を合成できる機能
3.濃い影を入れる
次に濃い色で影を入れます。
新規レイヤーを1のレイヤーにクリッピング(※2)して、髪型の奥まった箇所を塗りつぶしツールでベタ塗りします。色は2よりも濃い色を使ってください。
※2 クリッピング:下のレイヤーの線や色の範囲からはみ出さないようにする機能
4.ハイライトを入れる
一通り髪の毛を塗ったら、ハイライトを入れましょう。
新規レイヤーを作成して、髪の毛のツヤに当たる箇所にハイライトを入れます。以下のような箇所にハイライトを入れてみましょう。絵の雰囲気に合わせて、ペンや水彩ブラシを使い分けてくださいね。
- つむじ
- 光源に一番近い箇所
- 髪の毛が曲がっている箇所
特に頭頂部に円状になっているハイライトはよく目にするのではないでしょうか。作風にもよりますが、頭頂部周辺や光源に近い箇所の輪郭にハイライトを入れると艶感が出ます。また、髪が長いキャラの場合は髪の毛のウェーブに合わせてハイライトを入れると立体感も出ますよ。
5.仕上げをする
最後に仕上げをしましょう。
新規レイヤーを作成して、光が当たる箇所にブラシで明るい色を描き足したり、全体のコントラストを調整したりします。
髪の毛の塗りのクオリティをアップするコツ
髪の毛の塗り方に慣れてきたら、次はクオリティアップできるコツを取り入れてみましょう。以下で3つのコツを解説しますので、ぜひ試してみてください。
グラデーションを取り入れる
髪の毛を塗る際にグラデーションを取り入れると見栄えが良くなります。
グラデーションの使い方に決まりはありませんが、まず簡単に使ってみたいならシンプルにベタ塗りのあと頭頂部から濃いグラデーションを入れるのがおすすめです。慣れてきたら、反対に髪の下半分にグラデーションを入れる、毛先に別の色を足すとバリエーションが増えてきます。
反射光を描く
反射光とは光源の反対から入る光で、床や壁に反射したものです。右上に光源があれば左下から反射光が入るとイメージすると良いでしょう。
反射光はエアブラシで青など寒色系を使って表現する場合が多いです。ただし、必ずしも寒色系が合うとは限らないので、全体の雰囲気に合わせた色を選んでくださいね。
描き足しをする
一通り塗った後に描き足しをすると雰囲気が出るのでおすすめです。具体的には毛束から外れている髪の毛をペンで描き足します。手軽に、繊細さ・サラサラ感が出せるコツではありますが、あまり描き足しすぎるとうるさくなるため、バランスを見ながら描いてくださいね。
髪の毛の塗り方に関するよくある疑問
ここからは髪の毛の塗り方に関するよくある疑問に答えていきます。
髪にボリュームを出す方法はある?
髪にボリュームを出したいなら、塗る前の線画の時点でボリュームを出しておきましょう。線画を描く際に、髪の毛の厚みを踏まえて頭のアタリの線より少し大きく描きます。ボリュームが出ますが、全身とのバランスを見て描かないと頭でっかちになってしまうので注意してくださいね。
男性の髪の毛の塗り方に特徴はある?
男性キャラの髪の毛は、女性キャラと違って短髪の場合が多いことを踏まえて塗りましょう。具体的には、分け目の位置や髪の流れを決めてから描いて塗ることが大切です。
また、男性の短髪は段が入っている場合が多い点に注意しましょう。段によって影の入り方も変わるため意識してみてください。
よりリアルさを出す塗り方はある?
リアルさを出したいなら、毛束がポイントです。
毛束を意識して塗るのはもちろんですが、毛束の中の髪の毛を表現できると格段にリアルになります。具体的には、描き足しの際にペンで細かい線を何本も入れるとリアルな髪の表現ができるでしょう。
また、塗り方そのものをリアルな方法にしたいなら、グリザイユ画法に挑戦してみるのも良いかもしれません。グリザイユ画法はグレースケールで陰影を描いた後に色を乗せていく塗り方で厚塗りに少し近い技法です。立体感があり、よりリアルにはなります。ただし、陰影の付け方がクオリティを左右するうえ厚塗りに慣れた人向けであるため、初心者には不向きでしょう。
厚塗りの場合の髪の毛の塗り方は?
厚塗りの場合は、この記事で紹介した塗り方とは手順が異なります。最大の違いは線画をきっちり描かなくて良い点にあるでしょう。比較的ラフな線画に髪の色を徐々に乗せていくイメージです。
厚塗りに関してはこちらの記事で解説しています。
まとめ|塗り方を練習して透明感のある髪の毛を表現しよう
ベタ塗りして影を入れるだけでも髪の毛は塗れますが、透明感のある髪の毛にしたいならぜひブラシ塗りにチャレンジしてみましょう。
ブラシ塗りは難しそうと思われるかもしれませんが、この記事で紹介した方法なら、工程も抑えて仕上げられます。
もちろん凝れば凝るほど細かく繊細なイラストにできるので、少しずつ慣れて自分の画風に合った塗りを見つけてみてくださいね。
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